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難しい引き算

キャメオといえば、Word UpやReal Men…もいいけど、
やっぱり大所帯だった時代、キャメオシス前後だよ、と
事あるごとに主張してきた訳ですが、
どうも勉強不足だったようだ。

最近のプリンスの大マイブーム到来を受けて、
最近80年代のファンク系を中心に聴き直しているのだが、
やはりキャメオは80年代最高級のファンクバンドだったと
再確認しましたよ。

83年の9枚目のアルバム「Style」もいいのだけど、
その前作「Alligator Woman」がやはり凄いかな。
デジタル化時代を見据えて、メンバーを一気に削減したアルバムだが、
軽く5年以上は先を走っていた音作り。
当時リアルタイムでこのアルバムを聴いた人は相当驚いたのでは。
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いまいちジャケの美女のメイクとアリゲーターが一致しないのだが。

冒頭から連発する攻撃的な音に興奮させられるが、
無機質的な音をふんだんに使っても、デジタル臭くならず、
人肌の温かみを感じさせるのが、ラリー・ブラックモンならでは。
コーラスの作り方、入れ方を含む声の使い方が圧倒的に上手いのが、
その最大の要因であることは間違いないが、
同時に、ブラックモンがファンク、というか黒人音楽の肝というか、
骨組みや肉体の部分に関して、はっきりと把握していたこと、
さらにそのことに自覚的だったことも大きいのだと思う。

大所帯バンドの時から顕著であったが、隙間の活かし方、
音を徹底的に引いて行くその手法によって、
剃刀の様な切れ味を生んでいるのだが、この引き算の手法は
この時代、ブラックモンが圧倒的に秀でていたところですよね。
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引いても良いところ、残した方が良いところを
間違えないことが一番のキモ。
引くべきところを間違えてしまうと、黒い音楽独自の
旨みやコク自体を失ってしまい、音楽的に失速してしまうことは、
同時代のファンクバンドの多くが証明してしまっている訳ですね。
そう考えると、引き算が得意だったブラックモンの他にも
プリンスやロジャーがこの時代好調だったことも頷けるというものだ。
(自分でバンドをやると、この引き算がいかに難しいか、よく分かる)

シュガーフット、ラリー・ドットソンと続くファンク唱法を武器にする
ブラックモンの歌はもちろん変化球なのだが、はね返り係数が非常に高く、
メタリックな音の上で実に良く映える。
キャメオの大きな魅力の一つであるコーラス、これはかねてからの謎ですね。
なんで、こんなにソウルフルなのか?よく分からない。
軽やかに、高めの声でかわいく横に引っ張るコーラス、
おそらくメロディとリズムの良さ、そしてカットインしてくるタイミングに
その秘密があるような気がするのだけど、どうなんでしょう?
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ということで、キャメオ、今聴いてもとても良い訳ですが、
昔2パックがCandyをネタに使って盛り上がっていたけど、
そろそろ再評価されてもいいんじゃない?
というより、ブラックモンにはいい加減目を覚まして、
復活してほしいものだ。
あと、手元にない3枚目のUgly Egoを探しに行かないと。
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2010年代に入っても、しっかり股間に赤いプロテクターを付けているのは
さすがブラックモンだと尊敬します。
私も次回のライブで装着してみたいものだ。

≪追伸≫
みっこさんへ
プロテクターはこのPVが分かりやすいです。
えへへ


by zhimuqing | 2012-11-10 16:12 | Funkentelechy | Comments(0)
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