旨みというのは、難しい

e0147206_1738309.jpg
コーラス・グループの名の通ったリード・シンガーは
ソロ・シンガーになりたがる傾向があるが、
グループ時代を超える作品を作ることが出来た人はほとんどいない。
歌手としての力量の程度に多少の差があったとしても、
セールス的な部分は別にしても、音楽的な部分でグループ時代を
乗り越えることに成功した男性シンガーはほとんどいないのでは。
思いつくところでは、JBにピケット、ウーマックにマイケルぐらい?
ゴスペル・グループから飛び出してソロになったサム・クック式、
あるいはJB直系タイプの人でないと、難しいのかな。

テディ・ペンダーグラス、ジェラルド・アルストン、アリ・オリ・ウッドスン、
ドラマティックスのウィージーにL.J.レイノルズ、G.C.キャメロン、
いずれも錚々たるメンツだし、ソロ時代にも名曲があるのも事実だが、
それでもグループ時代の方がはるかにカッコイイ。

最近モータウンの65年版のベストを作ろうと思って、
例のコンプリートシングル集のvol.5をよく聴いている私。
この時代、やはり圧倒的なのはテムプスであることを再認識させられます。
スモーキーの大名曲を丁寧に歌い上げる若きデイヴィッド・ラフィン。
曲良し、歌良し、歌詞良し、演奏良し、100点満点の500点ぐらいかな。
e0147206_17413715.jpg
68年まで数々の名唱を聴かせたデイヴィッド・ラフィンも、
その後69年にソロとしてグループから独立する訳だが、
上に列挙した例に漏れない、というか、その典型的なパターンに陥ってしまう。
ソロになってからの3作(未発表を含む)やジミーとの兄弟共演盤、
ワーナーでの2作も悪くはないのだが、
テムプス時代を超えているかといえば、やはりノーと言わざるを得ない。
e0147206_1740227.png
デイヴィッド・ラフィン&ザ・テムプテーションズに
グループ名を変えるよう主張して、メンバー4人に受け入れられず
満を持してソロになったラフィンだが、そのことに本人は気付いていたのか?
並みのバック・コーラスでは自分を支えきれていない思いを
常に抱いていたのではないか?
e0147206_17385893.jpg
ソウルという音楽史上、類まれな表現力と歌唱力を持つ、
ハードボイルドな歌唱が心を打つデイヴィッド・ラフィン。
その突出した(しすぎる)男気はそれ単独でも味わい深いのだけど、
テムプスの分厚く複雑なコーラスを伴った味を一度味わってしまうと、
ソロ作では、旨みが十分に引き出されていない気がしてならない。
男気溢れる世界が完成しない。
突出しすぎているからこそ、テムプスの分厚く複雑なコーラスが
後ろで支えることが必要なのだし、そうやって初めて、
ラフィンの苦味成分が複雑で豊かな旨みに変化するのだ。

ソロになってからのラフィンのプロデュースを担当したのは、
ブリストル&フークアやアシュフォード&シンプソン、
ウィットフィールドやハンク・コスビー、ジョー・ハンター等の
モータウンのお抱え製作陣。
メンツ的には、決して悪くなかったはずだが、
結果的には、ラフィンの歌手としての力量というか大きさを
うまく楽曲の中に活かしこむことが出来なかったような気がする。
同時期のアレサ・フランクリンなんかにも共通することでもあるが。

70年代初頭から中盤だったら、結局誰と組むのが良かったのかな?
デトロイト出身でスタックスも手がけたドン・デイヴィス?
はたまた、ウィリー・ミッチェル率いるハイ・サウンド?
意外に良さそうだと思うのが、カーティス・メイフィールド。
e0147206_17375523.png
なんといっても、70年代中盤のカーティスは実績があるからね。
アレサにグラディス・ナイトにメイヴィス・ステイプルス。
特にアレサの声と歌を活かしきった≪Sparkle≫を聴くと、
カーティスだと、ラフィンの歌にもうまく対応できたと思うんだけどね。
というか、全盛期のカーティスの音に乗ったラフィンの歌を
私が聴いてみたいだけなんだけどね。
[PR]
by zhimuqing | 2012-10-31 21:28 | Funkentelechy | Comments(2)
Commented by けんどりっくす at 2012-11-02 21:39 x
今度、デビットラフィンの蜘蛛の糸をたぐり寄せるようなアクションを練習して披露したいと思います。
Commented by zhimuqing at 2012-11-03 01:06
>> ケンドリックスさま

そうそう、あの手繰り寄せアクション、
あれは絶対体得してほしいっす。
あれだけでなく、全体の身のこなしも含めて、是非とも。
なんだったら、生き様まで体得してもらっても良かです。
<< ハロウィーンはどうでもいいけど I just can'... >>