tremendous musician

フランク・ウィルソンが亡くなった。
全盛期のモータウンを支えたソングライター、プロデューサーの一人。
HDHとかスモーキーとかウィットフィールドのように有名ではないが、
この人のモータウンでの業績(≒ソウル界)は実に大変なものだ。
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派手な曲、奇抜な曲を作る人ではなく、
歌手の特性に沿った曲を作る職人肌の人なので、安定感抜群
しかもハマると凄い曲を作るのですね。
モータウンからもそのように捉えられていたようで、
こんな逸話もある。

HDHのモータウンからの離脱を受け、ベリー・ゴーディーは68年9月13日、
ウィルソンやディーン・テイラー等、自社の優秀なソングライター4人を
デトロイトのホテルに召集、4人にこう言い渡す。
「シュープリームスの次のミリオンセラー曲を書くまで、ホテルに缶詰めや」
ソーヤーとリチャードが歌詞を書き、ウィルソンとテイラーが曲を仕上げ、
4日後に録音したのが、大ヒットとなったのがLove Child。

と、そんな逸話はあるものの、割と地味なミュージシャンの担当が多い。
会社からはホームランよりも確実なシングルヒットを期待されていたのか、
モータウンとしての一押しでない人、しかもデトロイト産でない人がずらり。
本人がLA育ちで、LAが本拠地だったこともあるのかな?
ブレンダ・ハロウェイ、バーバラ・マクネアー、アイズリーズ、マーヴ・ジョンソン、
ボビー・テイラー&ヴァンクーヴァーズ等。
とはいえ派手さはないものの、じわじわ来る曲が多く、やはり良い意味で職人肌。
知れば知るほど、愛着が湧いてくる、そういう人なのだ。
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なにせ徹底的に裏方だった人だったんで、写真もほとんど無い。
せめて詳細にインタビュー取った人がいるといいのだが。

HDH離脱以降に担当していたフォートップスのアルバムやシングルも
当然悪くないどころか、隠れた逸品として愛でるべきものだし、
ブレンダ・ハロウェイと共作したYou've Made Me So Very Happyなんて
ただただ名曲としか言いようのないものだ。
時代がずっと下がって、77年にはレイクサイドなんかとも仕事をしているが、
その系列だと、ニューバースのDeeperが実に優れモノですね。
そのうち、「職人!フランク・ウィルソンのお仕事!」と銘打って
代表曲の選出でもやらないといけないなと思いますね。

ということで、私の好きなフランク・ウィルソン、ベスト5!




The Temptations :All I Need
テムプスの中でトップ3にも入るこの曲は文句なし。
HDH風な軽快なリズムに、不器用な男の思いを託すかのようなラフィン。
後ろで入るコーラスがまた絶妙。(特にエディの声)
ホーン・セクションのアレンジも絶妙。中盤に目立つコンガも最高。
ちなみにテムプスの大傑作アルバム≪In A Mellow Mood≫もウィルソンの仕事。
絶対に外せない1枚だ。




Diana Ross & the Supremes and The Temptations
:I'm Gonna Make You Love Me
ギャンブル&ハフが曲を書いた②は本当のゴージャス。
エディ・ケンドリックスとダイアナ・ロスの元同僚によるツイン・リード。
甘甘なのに、コシがあって、張りもある、ミラクルな1曲。




Marvin Gaye:Chained
「悲しい噂」チョイ前のマーヴィンのこの曲は有名でないが、
ジェマーソン(のはず)の複雑なベースを含め、演奏の素晴らしさが
マーヴィンの切迫感溢れるこの時期ならではの歌と相まって
最高のうねりを生み出している。




The Miracles:Whole Lot Of Shakin' In My Heart (Since I Met You)
ウィルソンがスモーキーと直接絡んだ曲はあまりないようだが、
この曲を聴くと、両者がもっと絡んでくれていれば!と
思わずにいられない。
先日選んだモータウン66年ベストにもこの曲は当然入れました。




Blinky:I wouldn’t Change The Man He Is
あまり知られていないブリンキーもLA育ち。
エドウィン・スターとの共演アルバムが(少しだけ)有名だが、
ソロアルバムは多分なかったような気がする。
当時売り出し中だったアシュフォード&シンプソンの曲。
ゴスペル上がりのブリンキーの歌が良いぞ!




Bobby Taylor & the Vancouvers:I Am Your Man
ついでにもう1曲。こちらもアシュフォード&シンプソンの曲。
ボビー・テイラーはジャクソン5をモータウンに初めに紹介した人だが、
歌手としても実に味わい深い。
切々と歌い上げる説得力が凄いし、最後に吼えるところもいい!
この曲は元々テイラーのソロアルバム用として録音されたもので、
結局グループ名義でリリースされるのだが、
コーラスにはウィルソンとアシュフォード、シンプソンも参加している。

ということで、最後にフォートップスについて、在りし日のウィルソンが
語っていた言葉を紹介したい。

I always had respect for the Tops and their gifts.
They are tremendous musicians. -Frank Wilson

the Tops をFrank Wilson に置き換えても、実に真っ当だと心から思うのだ。

R.I.P. Frank Wilson! We always love you!
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by zhimuqing | 2012-09-30 00:28 | Funkentelechy | Comments(0)
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