巷で話題のイタリアのカモッラを描いた「GOMORRA」。
前評判ではゴッドファーザー × シティ・オブ・ゴッドということで、
期待に胸を膨らませて見に行ったのだが、生憎ながら体調が万全でなく、
体調が万全でないと、若干しんどい感も無きにしも非ず。
ゴモラと聞くと反射的に身長40m、体重2万トン!の古代怪獣を思い出すが
こちらは旧約聖書の「ソドムとゴモラ」のゴモラの方ですね。
カモッラ、つまりマフィアに関係する5人(組)のストーリーを中心に
カモッラの日常を淡々と描くのだが、その淡々とした生活感あふれる描写が
怖さを浮き彫りにするという、そういう映画。
フェルナンド・メイレレスのスタイリッシュな映像と少年ギャングの哀愁も、
コルレオーネ一家の悲しい家族への愛情と憎しみ等もここにはなく、
何も感情移入されないまま、救いもほとんどないまま終始する。
法律の枠組みを無視して、黙々と金儲けに勤しむ姿が大変不気味だ。
しかもメンバーは一般人として紛れ込んでいる訳で、
映画中にも触れられていたが、どこに誰がいるか分からないという状態。
地下に潜るということはこういうことなのか、と考えることしばし。
原作本「死都ゴモラ」を書いたロベルト・サヴィアーノは、
死刑宣告されてしまい、イタリアから国外脱出しなければならなくなったそう。
ちょうどこの秋から暴力団を徹底的に規制しようとしていて、
しかも格差がどんどん開いてきていて、その上無条件開国しようとしている
今の日本の状況と重ねると、なかなか怖いものを感じますね。
このボロボロの公共住宅(多分)の荒れ具合も凄い。
産廃の不法投棄がシノギとなっているところは、
洋の東西を問わないなと、ある意味感心したのだが、
おそらく、こんなのは氷山の一角なんでしょうね。
あと、中国人との絡みも面白かったのだが、細かいところを言うと、
字幕をあえて出さない中国語、私には内容が分かってしまうのだが、
イタリア語をあまりうまく上手に通訳できない中国人の台詞までが
リアルなところにも驚きましたね。
あと、赤い旅団の話も出てきたような気がします。
ということで、体調万全な時に見ればもっと興奮したのかもしれないですが、
今日の私では少し厳しかったこの映画、体調回復したら、
原作を読んでみることにしよう。
でも、わたしはどちらかというと、こっちのゴモラの方が好きかな。
さすがウルトラマン、2万トンに踏まれても大丈夫。