あまりニュースになっていないのだが、アルフォンソ・マイゼル(ミゼル)が
亡くなったらしい。
アルフォンソ(フォンス)・マイゼルの仕事といえば、
まずはやはりThe Corporation名義でのモータウンでの仕事。
泣く子も踊るジャクソン5の名曲の数々。
「I Want You Back」、「ABC」、「The Love You Save」の3連発に加えて、
「Mama's Pearl」とか「Maybe Tomorrow」。
ゴーディー親方率いる覆面4人組の仕事なので、
ゴーディー、フォンス、フレディー・ペレンやディーク・リチャードが
それぞれ、どの曲でどういう役割を果たしたか、よく分からないが、
チームとして、この名曲群の1曲を残しただけでも、
後世に残る仕事であることは間違いない。
後列右端がフォンスさん。左から2番目がゴーディー。
前列は言うまでもない。
と、これだけでも凄いのだが、やはりマイゼルといえば、
ラリーとフォンスのマイゼル兄弟によるスカイ・ハイ・プロダクション。
ちょうどザ・コーポレーションが活動停止した頃に動き始め、
ドナルド・バードの72年発表の「Blackbyrd」が多分一番初め(だと思う)。
以降、80年頃までプロダクションとして活動を続けたのだけど、
個人的には、ドナルド・バードの75年作「Places and Spaces」あたりまで
その音作りと同じように軽やかに上昇して行った印象がありますね。
基本的にいつも同じメンツで製作しているので、
音の勢いは別にすると、悪く言うと金太郎飴ではあるけど、
柔らかにうねる精密な寄せ木細工のようなリズム隊をバックに
バードのトランペットが軽やかに滑空する様は
いつ聴いても耳が奪われてしまうのだ。
このLA時代のバードのアルバムは正直言って甲乙つけがたく、
その中からベスト作を選ぶ=好きな曲が多いアルバムになりますね。
この1曲と言われれば、多分Think Twice と答える私ですが、
アルバム単位でいうと、やはり「Places and Spaces」かな。
タイトルナムバーにDominoes、You and Musicと続き、
テムプスのJust My Imaginationで締めるという構成も素晴らしい。
一聴、ヤワなフュージョンのように聞こえる音像ではあるが、
バネの効いた瞬発力と寛いだ雰囲気を併せ持つボトムは滑らか極まりなく、
凡百のクロス・オーヴァーとは一線を画す黒みを付け加えている。
まあ、メイソンとレイニー、デイヴィッドTと来ると、
それだけで保障されているようなもんですけど。
(個人的にはこの時期のLAだったら、ハンフリーに叩いてほしかったが)
さて、一連のドナルド・バードのアルバムのクレジットを見ると、
フォンスは勿論プロデューサーとされているのは当然として、
トランペットともクレジットされており、主役のバードがいるのに?と
なんだか良く分かりませんが、まあ、そんなこともどうでもいいのだ。
今日はこの滑らかなビートに身を任せましょう。
フォンス・マイゼルに感謝の気持ちを捧げましょう。
ありがとうございました。
これからも大切に聴かせて頂きます。
マイゼル兄弟のお仕事はこの辺のアルバムで聴けます。
でも個人的にはドナルド・バードのアルバムの方がお勧めかな。