予感をヒシヒシと感じて、身悶えする

知らないうちに発売されていたラファエル・サディークの新作、
慌てて買いに行ったのですが、東京駅に出来た小さなタワレコには
まったく置かれてなく、仕方なく秋葉原まで買いに行きましたよ。
あそこは平日の夕方はレジに凄い行列が出来るので、
出来るだけ避けているのですが、やはり本日も40人強。

4枚目のソロアルバム、発売前の情報ではジャケットが2種類あったのだが、
風船ガム膨らませているお姉さんが真ん中のやつが表で、
サディークがギター弾いている写真のヤツが裏側でしたね。
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どちらも私好みの写真なんで、LPを買ってもいいなと思います。
画像処理されているのか、不思議な透明感があるのが
レトロな衣装とあいまって、逆にスモーキーな印象を強くしますね。
ちなみに内ジャケ?というか、ブックレット裏側にある
黄色いジャケット着用でギター弾くサディークの写真も良い。
加えていうと、前作に引き続きCDの盤面のLPを意識したデザインも良い。
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CDは家に帰るまで聴けないので、ブックレットを読むしかなかったのだけど、
ほとんどの曲はサディーク本人による多重録音なので良かったな、と。
今のサディークのツアーバンドはとても良いと思うし、
ブックレットにも愛情溢れるコメントが書かれているほど人間関係も良好。
なだけに、この新作はバンドとして録音されてしまいそうで、
そうなると、楽器演奏者としてのサディークもこよなく愛する私としては
少し困ってしまうところだったのです。

ゲストの参加が控えめなところも好ましい。
その人選もまた通好みといいますか、さすがサディークと唸らせる。
アンプ・フィドラー②、ロバート・ランドルフ⑥、ラリー・ダン⑦⑧、
ラリー・グレアム⑪、ワー・ワー・ワトソン⑦。
地味と言えば地味なんだけど、適材適所というか、その人が出す音が欲しくて
セッションに呼んだことが分かるチョイスですね。
あと、ストリングスのアレンジでポール・ライザーが前作に引き続き参加!

で、肝心の音はと言いますと、前作というより前作のツアーでの音を
更に突き詰めたような、60年代の黒い音を煮詰めたような音。
前作は基本モータウン路線だったんだけど、今回はよりブルージー。
スモーキーでもあるけど、しなやかさは失っていないのがポイント。
タワレコでブルーズのコーナーに置かれていたほど、
ロック親父なんかにも気に入られそうな音ですけど、
よく聴くとヒップホップを通過した音作りであるところが
このアルバムの肝だと思いますね。
特にサディークによるドラム、これまでで一番かっこいいのでは?

勢い溢れるドラムとギターに導かれ、シャウト一発かまして始まる
オープニング「Heart Attack」はフィルターをかけて歪ませたボーカルが
熱く迫るなか、このアルバムでの新機軸であるメロトロンが揺らぐ
スタンド以前のスライ的な一発。
後半にこっそり登場する、これまたスライ的なドゥーワップなコーラスが
私のつぼなのであります。

よりアーリー60年代の(ブラック)ロックンロール的な「Radio」は
切れ味鋭いサディークの演奏が実にドライブする好曲。
ベースやギターは言うに及ばず、ドラムのプレイがこれまた良いではないか!
時折挟まるシャウトはかなりのもの。(本当にサディークなのだろうか?)
アトランティック時代のレイ・チャールズが木霊する感じも。
もう少しテンポを落として、メロトロンが全面活躍する「Over you」は
サディークでは珍しく泣き節?を全開させている。
でも、私はどちらかと言うと、ドラムばかりに耳が行ってしまう
少し困った曲ですかね。
ちなみに2曲目の「Go To Hell」も泣き節全開。
タイトルとは裏腹な、大きな意味でゴスペル的な歌詞を歌い上げます。
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タイトル・ナムバーの5曲目は現時点でのアルバム・ベスト曲かな。
スタックス時代のステイプルスのようにブルージーにファンクする。
ドラム、ベース、ギター、どの演奏もキレキレだし、
間奏で入るギターソロもパップスのよう。
ここでの歌、特に中盤以降は歌の重ね方やフレーズが
かなりマイケルに近くて嬉しくなってしまうのだけど、
それをこの曲調に持ってきたところなんかは、やはりセンス抜群です。

続く「Day Dream」はロバート・ランドルフ参加で、
ツービートでタイトに迫るゴスペルデリックなブルーズ。
小回りの利くランドルフのスライドも面白いけど、
こぎみよい山椒が利いたような歌も良い。
「Movin’ Down The Line」はスタンダードなブルーズで始まるのだけど、
徐々にホーンやストリングスが重なって、風景が変わっていく。
さすがはポール・ライザーのお仕事です。
リオン・ウェアの歌詞に触れてからの歌い回しが気に入ってます。
同じく「Just Don’t」もポール・ライザーのアレンジに合わせて、
ラリー・ダンのモーグが駆け巡る後半が聴きどころかな。

PVもヘビーな内容だった「Good Man」はブルーズンソウル。
重い前半、一段落してからに微かに注してくる光のような展開、
最後に熱くソウルフルに歌い上げるところ、
アルバムの中で一番ドラマチックな曲ですね、少し重いけど。

ラストの「The Answer」も実に良い曲だ。
自由なフレーズで丁寧に歌うサディークが実にソウルフル。
この人の歌がどんどん良くなってきていることを如実に示しています。
これまたライザーの技が冴えますけど、それもこれもサディークあってのこと。

で、シークレット・トラックが入っているのだが、
ここで、御大グレアムさんが登場。
クレジットは無いのだけど、多分歌だけですよね。
ここでのベースはまさにサディーク印、もう最高だ。
サディークらしいグルーヴが全開で、30分ぐらい続けてくれても良いのだが。
隠しトラックなので仕方ないけど、せめて曲名ぐらいは知りたいな。

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ということで、待たされた甲斐のあるアルバムで、私は大満足。
2011年ベスト3入りは決定じゃないですか?
表面的には単なる回顧趣味に聞こえるかもしれないけど、
実はここからサディークが新しい世界を切り開いていきそうな予感が
ひしひしと伝わってくると思うのだけど、どうでしょう。
ああ、考えるだけで悶えてしまいそうな私。
また日本に来てくれないかなぁ。
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by zhimuqing | 2011-04-28 00:28 | Funkentelechy | Comments(4)
Commented by M.A. at 2011-04-28 11:36 x
こんにちは。
多重録音なので良かったな…て、どんだけサディーク好きなんですか(笑)
先日のコーチェラのライヴ、
外見のお洒落っぷりが上がってるのと裏腹に
音はより渋く(暗く?)なってるな〜と思いましたが果たして。
サディークのソロって、ファーストを除いて
初聴きで惚れるというよりスルメ状に良くなるんですよね。
意地でも日本盤を買うつもりだったけど
このプレビュー読んだからにはひと月以上も待てませんワ。
うほ、帰りに買おっと。。。ではでは。
Commented by zhimuqing at 2011-04-29 00:08
>> M.A.さま

こんばんわ!

たしかに2枚目、3枚目とスルメ系ですね。
私も以前、3枚目はイマイチと書いていましたよ。
2枚目出た時も1枚目のほうが良かったと思っていたし。

で、この4枚目、たしかに渋くなっているのですが、
私には、流行の単なるルーツ回帰っていう感じには聞こえないんですよね。
アル・グリーンの08年の完全復活作の感触に近いかも。
まあ、私の贔屓の引き倒しかもしれないのですけどね。

さて、日本盤の件ですが、特別豪華盤ということで、
やや早まってしまった感もありますが、
5曲多いとのことですが、3曲はパリのDVDの付属CDにあるので、
問題は残りの2曲になるわけですが、
11曲目「The Perfect Storm」はもしかすると欧盤に入っている
ボーナストラックかもしれないけど、そうでないかもしれない。
残る「Books」はこれは多分これまで未収録の曲ですね。

2ndの日本盤に収録されてたボートラはもう一つだったんで、
この手の曲はもう一つであるような気もするのだけど、
それでも気になってしまう私(とM.A.さん)は
かなりのサディーク中毒者ですね。

ではでは。
Commented by M.A. at 2011-04-30 14:00 x
スルメどころかグリコ以上、
一枚で2度も3度も楽しむzhimuqingさん、GJですよ!
Commented by zhimuqing at 2011-04-30 22:48
>> M.A.さま

こんばんわ!
しまった、このグリコ・ネタ、いつか使おうかと思ってて、
先を越されてしまった!
うー!
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