考えさせられたり、懐かしかったり。

Jディラ屈指の名作といわれるSlum Villageの1st、
98年にアンダーグランドで発表され、05年に正式に発売されたアルバム。
中古盤で見つけて、恥ずかしながら初めて聴いたのですけど、
簡単に表現できないほど、物凄い音ですね。
e0147206_1292992.jpg
これまた名盤との誉れ高いセカンドよりも、更に情報量が多い。
これ以降、ディアンジェロやクエストラブとかのセッションで
炸裂するディラの良い部分の素がこの音の中に凝縮されている。
がしがし聴きこんで、なんとか完全に消化してみたいものだ。

さて、ネルソン・ジョージの「ヒップホップ・アメリカ」を読了。
これまた古本で入手した。
少しずつ味わいながら読もうと思っていたのに、
ネルソン節?にあっという間に引き込まれ、
ほぼ一気読みしてしまう意志の弱い私。
e0147206_1294326.jpg
1998年までのヒップホップを様々な文化の面から分析したこの本、
ヒップホップの生い立ちに関して論評している導入部分も良いが
様々な文化との関係に関して分析していく中盤以降の流れこそ
この本の醍醐味ですね。

ネルソン・ジョージ、切り口がいいんですよね。
得意?の音楽業界と弱小レーベルやアーティストの関係はもちろん、
バスケやファッション、言葉狩り、ピンプ、ブラックプロイテーション、
様々な角度から自在に切り込んでいく。
例えばバスケ関係だと、アイヴァーソン世代から話を始めずに、
ジュリアス・アービングなんかから始めるところなんかが象徴的だけど、
その切り口の幅が広いのは、日々生活をしていく中で、
ヒップホップを含むニューヨークの文化・社会の変化を
肌で感じてきたことが大きいのだと思いますね。
当たり前だけど、この辺は我々が逆立ちしても全く適わないところで、
非常にありがたいのと同時に、羨ましくもありますね。
e0147206_130847.jpg
ギャングスタ・ラップに関する政治家?の動きに対する皮肉な見方や
アンドレ・ハレル、シスター・ソウルジャー、イージーE等にまつわる
浮き沈みの激しい、少しばかり苦味があるストーリーも面白いけど、
クラック禍による黒人社会の崩壊や女性蔑視の風土等に関する分析は
特に読み応えがあって、色々なことを考えさせられますね。

あと、向こうでのアーティストの受け止められ方と
日本でのそれとでは、かなり差があるようなところも面白い。
ヒップホップを日本に紹介してきた音楽評論家の好みもあったのだろうけど、
やはり売れ線よりもピュアリストなアーティストのほうが
紹介される機会が多かったのは確かでしょうね。

ヒップホップの黄金時代は98年以前なのだろうけど、
アウトキャスト、グッディ・モブ等のアトランタ勢もそうだし、
コモンやクエストラブ、モス・デフあたりを偏愛する私としては、
この続編がやっぱり読んでみたいですね。
どなたか翻訳してくださいな。
e0147206_1304097.jpg
ちなみにこの本の翻訳、私にはまあまあ読みやすかったんだけど、
ジョージの一人称は「ぼく」ではなく「私」にして欲しかった。

e0147206_1315528.jpg
あと、本の最後の方で、クール・モー・ディーについて
6ページも割いてくれていて、とても嬉しくなってしまった私。
高校生の私をヒップホップに導いてくれたのは、モー・ディーですからね。
それにしても、当時の日本ではシリアスなキャラだと紹介されていたけど、
アメリカではどちらかというとコミカルなキャラだったと知って、
20年ぶりに驚いてしまった私です。
e0147206_132862.jpg
18歳の時にこのミニアルバム、部屋に飾っていたことを10年ぶりに思い出した。
このアルバムをきっかけの一つとしてJBに辿りついたのだが、
それはともかく、今見ると、物凄いジャケットですね。
e0147206_1335667.jpg
これはモー・ディーとあの人のコラボらしい。
寡聞にして知らなかった私。
これはすぐにでも聴いてみようと思います。
[PR]
by zhimuqing | 2011-01-20 23:28 | Funkentelechy | Comments(0)
<< 音楽誌が出来ること ピンと来ない時は熟成に限る >>