私が自分から音楽を積極的に聞き出したきっかけの一つは、
実はポール・サイモンでした、と言うと、 周りの友人達はこぞって驚いてくれますね。 ラジオで流れた「You can call me Al」(Graceland収録)ですね。 徐々に芽生えてきたファンキーな音への興味が次第に大きくなり、 気が付いたらアフロな泥沼どっぷりつかりこんでいたわけです。 そんな感じなんで、永らくポール・サイモンから離れていた訳ですが、 5年位前にオリジナルアルバム9枚を集めたボックスを購入し、 また同じ頃買ったiPodに入れて、気が向いた時に聴いているのですが、 音楽的素養が当時よりは少しは増えた今の耳でまとめて聞いてみると、 色々新しい発見があって面白いですね。 「There Goes Rhymin’ Simon」な訳ですが、 これは実に素晴らしい出来なのですよ。 南アフリカ勢と作った「Graceland」も、 ウディ・アレンの映画のような「Still Crazy After All years」も、 オロドゥン他ブラジルとアフリカ勢混合で作った「The Rhythm of the Saints」も、 渋谷系で人気があった「One Trick Pony」も大変良いですけど、 今の耳で聞くと、ポール・サイモンの最高傑作は2枚目で決定ですね。 サイモンのアルバムはなんといっても曲が良いし、 凄腕ミュージシャンを惜しみも無く使った演奏も良いし、 色々な音楽とのバランスも良いし、で、どのアルバムの高品質なんですけど、 このアルバム、アメリカの黒人音楽の影響が一番濃厚な気がしますね。 普段あまり指摘されない(と思う)サイモンの隠れた魅力である 白いファンキーな持ち味が全開で、素晴らしい。 サイモンの歌は声量はないし、音域も広くはないのだけど、 密かにタメが効いていて、ひそかにファンク濃度が高いと思っているのだけど、 どうなんでしょ? 大名曲「Take Me to the Mardi Gras」をじっくり聞いてみようではないか? セカンドヴァースで出て来るファルセットなんて凄まじいもんだ。 アル・グリーンより滑らかな絹のようなファルセット。 本物のソウル・シンガーも真っ青ではないか! と力説しようと思っていたんだが、あまりにも歌が上手すぎる。 オカシイということでブックレットを見てみると、 Falsetto Voice : Rev. Claude Jeter と書かれてあって、 なんだ、本人ではないのか!ということなんですけど、 おいちょっと待て、クロード・ジーターって あのゴスペル界にファルセットを持ち込んだ、 アル・グリーンとかサム・クックにも影響を与えた、 あのスワン・シルバーストーンズのジーター師かい!ってなことで、 久しぶりに興奮した私なのであります。 (もっともネットで調べてみると、実は結構有名な話のようだ。) そんなに偉大な人には見えないのは私だけ。(失礼) あの声とこの顔のギャップがどうしても埋まらない私。(失礼) 興奮した私はブックレットを隅々まで読んでみたのだが、 このアルバムに参加しているメンツは本当にすごい。 アレンジャーで、アラン・トゥーサンにクインシー、 半数を占めるソウル風味の曲はマッスルショールズの面々、 内省的な曲にはボブ・ジェームズとボブ・クランショウ、グラディ・テイト、 2曲でディキシー・ハミングバーズのコーラスもあるし。 演奏陣でいえば、マッスルショールズの名ドラマーである ロジャー・ホウキンスのドラムがかなり私好みです。 派手なことはしないんだけど、独特の間の取り方が気持ちよすぎます。 サイモンと言えば、スティーヴ・ガッドが有名なのですが、 私の好みとしては、断然ホウキンスですね。 あと、やはりサイモンは昔のゴスペルとドゥーワップに凄く影響受けているなと 色々な曲を聞くと、改めて感じますね。 アレサの歌う「明日に架ける橋」なんて、完全にゴスペルですもんね。 この辺はS&Gとかフォークなんかの代表として捉えられている感がある 日本での現状とはだいぶ隔たりがありますね。 下手したら、南こうせつなんかと同列に扱われているような気もするのだ。 はっきり言って、日本でのソロでのサイモンの評価は不当に低すぎると 声を大にして言っておきたいのであります。 あと、このボックスセットには、アコギの弾き語りでの ポール・サイモンのデモ録音が入っているのですが、 ギターも本当に上手いですね。 うーん、なかなか奥が深い人だ。 この人をナメてはいけない。 なんといっても、レイア姫と結婚していた人だからね。 ハン・ソロと互角の男だと認識すべし。
by zhimuqing
| 2010-10-23 00:28
| Funkentelechy
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Comments(3)
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M.A.
at 2010-10-24 21:59
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ウヒャ。意外なツボをビキーンと押されてしまったので↑にかまわず
書き込みます(^^; どうでもいいけど汗って普通は右側じゃ? その昔「ひとりごと」を一日3回くらい聴いてました。 もちろん今でもたまに聴きます。全く飽きませんね。 で、マルディグラのファルセット。あの声が尋常じゃなくすごいことは、 洋楽のアルバムなんて5枚くらいしか聴いたことがないガキにも わかりましたが、こんな風貌の方とは夢にも…。夢に出そう(笑)。 昔話ついでに、長崎の某レコードショップでシングル「アメリカの歌」が発売週に売り上げ1位を記録。ワタクシは狂喜したのでありました。
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M.A.
at 2010-10-24 22:20
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クロード・ジーターでググってみたらyoutubeに素晴らしい動画が。
zhimuqing さんもご覧になったと思いますが。 いや〜ゴスペルってイイですね! またもやイイネタをご提供いただきありがとうございました。
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zhimuqing at 2010-10-24 23:49
>> M.A.さま
こんばんわ! 時々変なコメントが割り込んで来るのは、全く困ったもんですが、 意外と本人楽しんでいたりして。 そうですか、M.A.さんもサイモン好きでしたか! ひそかに温存していたサイモンねたで 熱い反応、嬉しいっす。 おまけに長崎の話まで。 「ひとりごと」に入っているディキシー・ハミングバーズの2曲も かなりカッコいいっすね。 押さえているのに、はみ出してくるゴスペル魂とでもいいますか。 サイモンの素晴らしい曲によって、更に旨みが増す感じです。 それにしても、私も今回初めてジーター師の写真を見たのですが、 けっこう衝撃でしたね。 手持ちのCDはイラストだし、 映像見てもサングラスかけてるし、 どうしても顔と声のギャップが埋まらないままです。 ところで、ジーター師に限らず、当時のゴスペルの映像を 探してみようと思いつかなかったので、 完全にノーマークでした。 ありがたい情報ありがとうございます。 なかなかスゴイぶつが眠っていそうで、 私の方はこれでまた寝不足になることでしょう。
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