『理由』に震え、カラクリに頷く

体調が優れないまま、中国から帰ってきた訳ですが、
この日本の暑さはやはり物凄いですね。
早くもゲンナリしてしまっているのであります。

先日薦めた宮部みゆきの『火車』がロンマク氏に絶賛されたのに
気を良くして、今回の出張でホテルで寝る前なんかに軽く読もうと
『理由』を持っていったのですが、堪え性のない私は
成田行きの電車に乗るやいなや、読み始めてしまったのでした。
e0147206_1432223.jpg


やっぱり宮部みゆきの代表作だけあって、実に噛み応えがある。
題材は若干古いのだが、経済状況もうまい具合に一回りしていて
昨今の状況に実にフィットしている。
登場人物のキャラクターのバラけ具合、その絡ませ具合、
時間軸の切り取り方と繋げ方、物凄い構成力だ。
この人の頭の中身は一体どうなっているのだろう?
ノンフィクションのような書き口も見事にハマっていると思う。

社会問題を描いた時の宮部みゆきは「家族」をテーマに置くことが多いが、
この『理由』でも、市井の様々な家族模様の機微を社会背景に溶け込ませながら
描いていて、読んでいる最中も読み終わってからも
色々と考えさせられるものがありますね。
まさに宮部みゆきならではの世界。

なので、逆のそういう部分を味わいつもりがなかったり、
謎解きのミステリーが単純に楽しみたかったり、
明確な答えが欲しかったりする向きに
私が思うほどの評価を貰っていないのも理解できるような気がする。
私の中での評価は五つ星でゆるぎないですけどね。

宮部みゆきには、是非とも今の社会状況を踏まえた上での
作品を一本お願いしたいですね。
広がるばかりの格差、ワーキング・プアの問題、
満足に教育が受けられない子供達、
書くべき題材、書いてほしい題材は山ほどある。
この人が書くことによる社会的な影響にも私は期待しているのだ。

e0147206_1424275.jpg
こちらは成田空港で買った斎藤貴男「消費税のカラクリ」。
これまで私が色々なところで聞きかじっていた
消費税の問題点が実にコンパクトにまとまっていて驚きましたが、
派遣社員の問題と消費税が表裏一体になっていることにも驚いた。
宮部みゆきが書くべき題材はここにもいっぱいある。
色々なことが勉強になったし、最後にある『対案』にも非常に良かった。
是非とも色々な人に読んでほしいが、
この本の冒頭の朝日新聞の記事と政府税調の答申の相似ぶりに
朝日新聞の購読をやめたい気持ちが一段と高まるのであります。
[PR]
by zhimuqing | 2010-07-24 23:50 | Make Me Wanna Holler | Comments(0)
<< 暑い日にはタフな子供を見習う 出張のご挨拶 >>