ママのミルクに感涙する

ということで、プリマク氏が上京している中、
今年最高の楽しみと言っても全く過言ではない
エリカ・バドゥのライブに出撃!
一部で噂になっているロノブ兄さんと3人、3/8 マクンヴァですな。
(正式な分母はちょっと不明だけど)
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興奮のためか、ゾンビパウダーのためか、トランスに入ったお二人。

入り口で屈強なブラザーの予期しないボディ・チェックに若干焦りながらも
会場の横浜ベイホールに入ったのだが、何年ぶりかな? この会場!
P.ファンクで見に来て以来なんで、15年は経ってると思うのだけど。
アトミックドッグでクールネス極まりないシンセを弾いてた
ア●プ・フィ●ラーに「おい、●リ●ァナ持っていないか?」と聞かれた
非常に思い出深い会場ですね。
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開演までは結構長かったので、その間も歯痛と闘うために
鎮痛剤をオクスリをキめる人のように飲みながらも、
ひそかにテンションを上げていったのだが、
鎮痛剤なんか屁の役にも立ちませんね。
物凄い表現者が本気で表現すると、こちらのありきたりな期待を
軽く超えてしまうということなのですね。
当然ショーの間、ただただ呆然と魅せられたまま、
歯のことなんか、神経が感じないのであります。

ここまで素晴らしいアルバムを積み重ねているエリカ・バドゥ、
その素晴らしい曲をライブで聴かせるだけで、
誰をも納得できるショーになるのだと思うのだが、
そんなレベルは完全に超えて、表現者としてギリギリ攻めていく結果、
別の表現、別の次元にまで達していて、ただただ圧倒されるのみ。
度肝とか尻子玉とか色々なものを抜かれましたよ。
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非常に高度な表現を強いられているにも関わらず、
楽々とこなしてしまうバンドも素晴らしいし、
ラップトップやDJが出す音やリズムパッドやテルミンも
歌世界の表現を広げるための必然性をもったものとして
そこには組み込まれている。

バンド、そして出てくる音も凄いのだが、それをも凌駕、いや凌駕ではなくて、
包み込んでしまうエリカ・バドゥの表現者としての凄味こそが、最高の醍醐味。
表現に対する迷いの無さは切れ味が鋭すぎて、
ドライアイスで火傷をしてしまうようなそういう感覚に近い。

かなり前方で見ることができたこともあるのだが、
瞼や指先や髪の先まで神経が行きとどいた身のこなし、
破れたTシャツの破れ方、シルクハットの被り方、ドレッドが解けたような髪型、
随所に決めるアフリカと宇宙が合体したようなポージング、
目線やブレス一つだけでも強力な磁場を作り出すことができる本物だ。
色がないはずの背景が深緑がうごめくように見えてくる。
(ラリってたわけではないっすよ。)
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ライブを見て強く印象に残ったのは歌の強さ。
どちらかというと線が細い印象があったのだが、
完全にその印象はひっくり返りましたね。
自在なフレージングはもとより、竹が裂けるような鞭がしなるような瞬発力や
ここぞという時に見せるとっておきの爆発力や
ジャジーなグルーブでもドープなビートでも軽々と乗りこなす運動神経は
この人がアフリカ由来の芳醇な音楽土壌から産まれてきた人であることを
完璧な形で証明していますね。
コーラス隊との歌の絡みがホーリー・ゴーストを呼び出すのもむべなるかな。
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音楽的にもステージの構成的にも、ルイ・ジョーダンやキャブ・キャロウェイから続く
素晴らしいブラック・エンタータイナーの王道というか精髄というかエッセンスを
正統に引き継いでいる、そんな素晴らしい音楽表現を行っているのが
非常に美貌に恵まれた一人の女性であることが更に感動を深めるのだ。
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クールな批評性も持っているところなんかは、スリム・ゲイラードや
スライ・ストーン、ジョージ・クリントンを引き継いでいると言えるし、
バンドに目が全く行かず、主役一人に目が釘付けになる、そういう感覚は
もしかしたらマイケル・ジャクソン以来じゃないのか。
(そういえば、途中にオフ・ザ・ウォールの挟んでいたな)
現時点で世界最高のファンカティアーであることは間違いないでしょう。

しかもスライやマーヴィンやディアンジェロのような天才ゆえのバランスの悪さもなく、
(それはそれで魅力的であったりもするのだが)
まだまだ非常に高いレベルで安定した活動が期待できるのだ。
ルークに最後の希望を託さざるを得ない反乱軍にやっかまれそうなくらい。
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この精神的な安定感によって、曲やMCでのメッセージが活きてくるのだ。
銃を捨てろ!とか、スレイブマスターからの自由を!とか人民に力を!とか
そういうメッセージがまったく上滑りせずに、心にズドンと落ちる説得力の塊。
地元で貧困家庭の子供達に対する慈善活動を展開しているのも全く頷ける話だ。

そんなこんなで感動の連続であったライブなのだが、
私は最後の最後で完全にやられましたよ。
ライブの終盤、Tシャツの胸の部分に出来た染みに「マイ・ミルクが」と説明して、
1歳なるかならないかの子供がステージに登場し、
一人のママの顔に戻った時の笑顔を見た時、
そして最後、MCの最中に子供の声が聞こえてきて、
「これから(子供の)ディナーだから」といって笑顔でステージを後にした時、
私は本当に感動したと同時に、心底から信頼できる人だなと感じたのでした。
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エリカ・バドゥは最高だ!
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by zhimuqing | 2010-04-18 23:41 | Funkentelechy | Comments(0)
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