資源大陸アフリカを読んだ。

上の親知らずを二週続けて抜いたのだ。
下の親知らずと違って、割と簡単に抜けることに驚いたが、
メリメリミシミシという強烈な音もするし、
ものすごい力が顎というか顔の下半分にかかるしで、
私の頭蓋骨は大丈夫なのかどうか心配になってしまう。
とりあえず、歯が痛いとご飯が美味しく食べられないのだ。

さて先日、大変感銘を受けたセバスチャン・サルガドの写真展だが、
アフリカ諸国の紛争等の背景が今ひとつ把握していないので、
非常にもどかしい思いをしたのでした。
もっともサルガドの写真はダイレクトに心に訴えかけてくるので、
知識の有無と理解の深さは全くリンクしないんですけどね。

と、そんなことを考えながら、パンフレットを買っておこうと、
美術館に併設してある本屋に行くと、すでに売り切れ。
大盛況だったですからね。
でもまあ、注文すれば家まで届けてくれるということだったので、
一冊お願いしたのだが、その本屋で発見したのが、
以前石田昌隆さんが推薦していた白戸圭一の本。
『ルポ 資源大陸アフリカ──暴力が結ぶ貧困と繁栄』。
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私のような人も多くて、リクエストがあったのかもしれないですが、
写真展を開くだけでなく、その後までフォローして、
アフリカの問題をより深く知ってもらおうとする
東京都写真美術館の姿勢はなかなか良いと思います。

肝心の本ですが、これがなかなかの力作。
著者の白戸氏は毎日新聞のヨハネスブルグ駐在(当時)。
南ア、コンゴ、ナイジェリア、スーダン、ソマリアといった名だたる?国の
本当の意味での暴力と貧困がはびこる現場を取材した
良質のルポルタージュですね。

政府と反政府勢力といったような対立が起きている場面では
出来る限り双方に対して取材しているのだが、
可能な限りフラットな視点から物事を見ようとしつつも
悲惨な現場で感じる憤りや無力感が
表面に出てくるのもしごくまっとうな反応だと思う。

取材、特に反体制側や犯罪者へのアプローチ方法は
ちょっとした見ものというか、興味をそそられる。
不法入国したり、武装勢力にボディーガード頼んだり。
不謹慎だが、冒険小説を読んでいるような気にもなる。

やはりポイントが高いのは、活き活きとした筆運びかな。
重い題材なのだが、300ページ強を一気に読ませてくれる。
あと、現場調査だけでなく、随所に挟まる背景の説明が分かりやすく、
今の私のニーズもよく満たしてくれています。
ということで、この本は大変参考になったのでありました。
この本を読んで、フェラ・クティを聴くと、いつもより心に響きます。
なんで、マクンヴァ関係の人は必読、当然・義務の助動詞「べし」です。

ただ、これだけの題材をフォローするには当然ながら1冊で済むはずもなく、
その後のもっと掘り下げた続編というか第二弾が読みたくなるのだが、
筆者の白戸氏は現在日本に帰って政治部記者をしているそうなので、
この本の続編は期待できないのが残念だ。
今の日本の政治部記者にしておくのは勿体無いと思うのだが、
本人はどう感じているんだろうか?

アフリカのニュースは現場からは一生懸命発信しても、
なかなか新聞に載せてもらえないと、著者は本の中で嘆いているのだが、
この本も何故か東洋経済新報社から発行されている。
経営難が伝えられる毎日新聞の情けなさが目に付くところだが、
東洋経済新報社のほうを褒めたほうがいいのかもしれない。
週刊東洋経済も結構面白い記事が多いし。
ただ、いつも思っているのだが、あれを毎週読みこなしている人は
一体どれくらいいるのだろう?結構大変だと思うんだけどね。
やっぱり皆さん、私と同じように面白そうな時だけ買っているのかな?

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私からの強い希望なのだが、ケン・サロ=ウィワの伝記本、
誰か翻訳してください。お願いします。

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フェラ・クティが残した音源は世界遺産なのだが、
とくに70年代後半の音も密度は格別なものがある。
このInternational Thief Thief(国際的窃盗団)で歌われた内容は
今でも全く古びていない。
というより、グローバリズムが広がった現代の状況を予言しているし、
戦後日本の姿が歌われているような気もする。
(以下、板垣真理子著「武器なき祈り」他より抜粋)

多国籍企業は金を盗む。
奴らは新聞紙上で大きなプロジェクトについて語り、
俺たちを混乱に陥れる。

いまや多くの海外企業がやって来て、
アフリカの金を持って行ってしまう。
やつらの名前はITT(International Thief Thief 国際窃盗団)。
混乱もインフレも汚職もそこから生まれてきた。

やつらは一つのやり方を見つけた。
一人の意識の低いアフリカ人を見つけて、100万ナイラを渡すのだ。
そいつはそれを利用して地位を得る。
それを1000万ナイラにして、ろくでもないチーフに成り上がる。
ソイツは袖の下を使って鼠のようにあちこちに顔を効かせる。
上にも下にも内部にも。
ジャーナリスト、政府書記官、局長、大臣、国家元首のお友達。

さあ、そして始める。
混乱が!インフレが!汚職が!公金横領が!抑圧が!
オバサンジョとアビオラ(ナイジェリアの企業家・政治家)のように
世界を股にかけた泥棒たち(I.T.T.)。
だが俺たちは戦う。俺たちはもう糞を運んだりはしない。

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by zhimuqing | 2009-12-19 10:39 | Make Me Wanna Holler | Comments(0)
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