方丈記が面白いと思ってしまった件

堀田善衛の「方丈記私記」を読んだ。
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自身の戦争体験と照らし合わせながら、
鴨長明の方丈記を読み解いていく本なのであるが、
これが案に相違して大変面白いのだ。

方丈記に限らず、日本のいわゆる『古典文学』は
なにせ高校時代に恐怖のピッコロ大魔王といわれたA田先生に
理系であるにもかかわらず、みっちりとしごかれたせいで、
未だに拒否反応が残っていたりするのですが、
この堀田善衛の解釈、鴨長明の描かれ方が抜群で、
こういうのを読んでいたら、もっと古典の授業も違ってたでしょうね。
(とはいえ散々しごかれたおかげで、原文読むのもあまり苦にならないのだ。苦笑)

方丈記の解説が面白いが、やはり圧巻なのは、
藤原定家の新古今調に対する鴨長明の批判内容を
当時の貴族社会の危機意識に結び付けて、
返す刀で日本社会をぶった切る後半の流れが物凄い迫力である。
私が生まれる前に書かれた本であるが、
現在の日本でも完全に通用するのだ。

平安~鎌倉初期にかけて、貴族が完全に自己の存在だけを
自己目的として、他の世界(つまり一般庶民)に対する想像力を
失っている事にしつこく触れた上で、とどめの様に次の言葉が出てくるのだ。

権力は敵と妥協し、敵に通じても自己保存をはかることを自己目的とする。
「日本」の業は深いのだ。


折りしも衆院選挙が近づいていますが、
結果がどのようなものになるにしろ、
この言葉を私は覚えておこうと思うのだ。

世間の人々に負担ばかりを押し付けてきた自称「責任政党」、
後期高齢者医療制度を導入し、社会保障費2200億円削減してきた自称「福祉の党」。
出鱈目を散々やってきたこれらの党はいうまでもなく、
「国民の生活が第一」と標榜しながら、そのマニフェストで
こっそりと格差社会の是正を目指すという方向性を消してきている「次期与党」の
変貌ぶりも物凄いものだ。
近い未来、経団連の希望に沿った施策を打ち出してくるのは間違いないでしょう。

方丈記とこの方丈記私記、いずれも大変面白い。
面白いと思っていられるうちはまだ良いのだけど、
なんだか、そのうち笑い事にならない気がして、
8月になるというのに、なんだか背筋が寒くなってしまう今日この頃なのでした。

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大学時代の恩師K教授に読めと渡された堀田善衛、すごく感謝してます。
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by zhimuqing | 2009-07-31 20:08 | Make Me Wanna Holler | Comments(2)
Commented by machi at 2009-07-31 18:21 x
大魔王の血をひくものですが、しごかれなかったので古典を読むのは苦手です。。。

でも、子どもながらにピッコロ氏の書斎は好きでした。
ひんやりとして、ゴミ屋敷のようなA田本家の中で唯一片付いていて。
こうやって書いていただくと、もう行くこともないと思うと残念な気持ちになります。
素晴らしい本もそのままゴミになってしまうんでしょうかね。
Commented by zhimuqing at 2009-08-02 15:22
>> machiさま

当時散々しごかれまくったので、
理系だった私たちのクラスは文系よりも
国語の成績が良かったのであります。
あのスパルタ式、最近ではなかなか認められないでしょうけど、
印象が全体に薄い人が多かった高校の先生の中でも
折に触れて非常に懐かしく思い出すのであります。

それにしてもピッコロ先生の書斎!とは
想像を絶する世界ですね。
リアルなナメック星。
ヒンヤリというのは身内だからの勘違いで、
「寒気がゾクゾクする」とか「荒涼としている」の勘違いだと思われます。
それにしても蔵書類は勿体ないので、
何とかしてあげてくださいまし。
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