今こそ解放するのだ!

BADというアルバムのテープを友人にダビングしてもらったのだ。
すべて素晴らしい曲ばかりで、あっという間に体に浸透していったのだが、
好きになればなるほど、その背景が気になってくる。
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5曲目で一緒に歌っている声はスティービー・ワンダー。
1曲目はある男とのデュエットを想定して書かれた曲と聞いたが、
そのミュージシャンはプリンスという名前だった。
翌88年にチューブを咥えながら歌を歌うロジャーという風変りなシンガーがいたが、
彼の名前も何故かBADのブックレットのスペシャル・サンクス欄に名を連ねていた。

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大ブレイクのきっかけになったモータウン25というイベントがあると聞き、
お年玉を握りしめて天神のベスト電器でレーザーディスクを購入した。
そこで見たBillie Jean やJackson 5(正確には6)のステージは期待以上だったが、
一緒に出ていたマーヴィン・ゲイの宙から何かを掴みだそうとする姿や
スモーキー・ロビンソンのセンシティブ極まる節回しや
テンプスとフォートップスのダンディズム溢れる歌ぢからにノックアウトされたのだ。

同じ頃入手したヒストリーもののLDにはデビュー前の練習風景の映像があり、
そこでジェームス・ブラウンが歌うI Feel Goodという曲を初めて知ったし、
変身してスーパーカーやロボットになった挙句、最後に宇宙船になる映画を見て、
ファンキーとかスペイシーとかそういうものを大切にする小学3年生の
気持ちを取り戻したのだ。

こうやって改めて振り返ると、やはり私にとっての全ての始まり、ビッグバンだな。
その導きで、得難い友人を作ることもできたのだ。


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アマゾンやタワレコ、HMVでは軒並みCDやDVDが売り切れているらしい。
今回の件があって初めて聴くの?と言いたくない。
やはり出来るだけ多くの人に聞いて欲しい、というのが正直な気持ちなのだ。
(もっともすでに世界中の人に届いているわけですけど。)
そこから色々な道が広がっているのだ。

溌剌した可愛さを求めてジャクソン5を聞くのも良い。
そこにはジェマーソンのグルーヴィーなベースがあったり、
デイヴィッドTの揺蕩うようなギターがちりばめられているのだ。

最新作のInvincibleを聞いても良い。
Butterflies での凄まじいばかりに飛翔する歌を堪能してほしい。
このアルバムはアップよりもミディアムやスローのナンバーが素晴らしく、
この路線を突き詰めると新しい世界が広がるはずだったのだ。
スライとネオソウルを掌中に収めた世界が。

Off The Wall での瑞々しい歌と演奏を楽しむのも一興だ。
スティービーが書き下ろしたI Can't Help Itの絶妙なテンションコードは
少年が青年へと成長していく一瞬を見事に音像の中にとどめている。
軽快なIt's the Falling in Love は私の結婚式のBGMの1曲目だ。

Badのセカンドヴァースに入るギターのカッティングも絶妙だが、
その直後に入るジミー・スミスのアドリブとマイケルの声の相性は抜群。
Speed Demonのリズム感は本当に信じがたいものだ。

Dangerous で完成したニュージャックスウィングを浴びるのも良い。
彼なりのゴスペルはMan In The Mirrorを経て、Keep The Faith で完成したのだ。
メローなRemenber the Time、セクシーなIn the Closet、
全方位で広がるだけの奥行きを持っている。

キャブ、ルイ・ジョーダン、ニコラス・ブラザーズ、ジェイムス・ブラウンと
綿々と繋がる黒い音楽と芸能の真髄を、
多少味わいやすいようにオブラートをかけてはいるが、
時間をかけて抽出して精製させた至極のエッセンス。
そこには紛れもない黒いアフロアメリカンとしての美学の結晶があるのだ。
一人の男が自分の声と体で完璧に表現した、その部分を私は評価してほしいのだ。
スキャンダルやゴシップはもう必要ないだろう?
今こそマイケル・ジャクソンを解放しろ。
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by zhimuqing | 2009-06-29 23:21 | Funkentelechy | Comments(2)
Commented by shiny at 2009-06-30 11:05 x
ウエキンさん、同感です。
Commented by zhimuqing at 2009-07-01 07:26
>> ツンバイ様

ええ、全くです、はい。

未発表の曲がとても聴きたいような、
聴きたくないようなそういう複雑な気分な最近です。
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