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剛球で真っ向勝負!

色々文句を言いつつも、ミュージックマガジンを買っているのは、やはり石田昌隆の連載『音楽の発火点』が読みたい(見たい)から!名著「黒いグルーヴ」から待つこと10年!個人的には待望の石田昌隆の新著が出版!
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それにしても表紙がLKJだとは分からなかった。眼鏡と帽子をつけさせずに写真を撮るとは!

これが期待を大きく上回る出来栄え!ミュージックマガジン社の最高傑作であるだけでなく、色々ある音楽の本の中でも最上級に位置すると断言します!!マークも連発してしまうってなもんだ!

手に取ってみると、ズシリと重い413ページ!前半1/3が写真、以降が文章なのだが、この文章部が読み応え満点で素晴らしい。ギュッと密度が詰まって、もはや白色矮星だ。10数年前にマガジンのモニターやった時に、単行本化してください、と熱情込めたお願いを書いたあの時の私に読ませると、鼻血出して卒倒してたでしょう。

石田昌隆はなんといっても現場主義。興味をひく音楽があれば、カメラを持って現場直行。自分の体で感じたものを写真と言葉に刻んでいるので、思わせぶりな言葉とかクリシェの羅列とは縁が無いのだ。独特のリズムというか躍動感があって、グルーヴィー。自分の触角で感じた音楽を現場まで追求していく姿勢は音楽を楽しむ人間として、一つの理想系ですね。

写真に対する氏の考え方は、webDICEのHPのインタビューに詳しいです。含蓄の深い言葉が色々並んでいます。下手に引用すると、旨みが減ってしまうので、興味のある人はHPを読んでください。あとは本人のHPもお勧めだ。それにしても、写真展を3月にやっていたとは!またしても大失敗だ!

今回の「オルタナティブ・ミュージック」、ミュージシャンの豪華さは物凄い事になってます。JB、Pファンク、フェラ・クティ、NWA、リー・ペリー、カエターノ、ルイ・ヴェガ、ヌスラット、ザ・ルーツ、サリフ・ケイタ、ADF、LKJ、ローリン・ヒル、PE。ああ、もうどれもこれも私の大好物。(世間的にはニルヴァーナとかイギーポップとかU2なんでしょうけど)石田氏が活動を始めた70年代後半以降に限定すると、ここに足りないのはザッパとパルミエリぐらいかな。

本の題名は「王道」でなくて、「オルタナティブ」。後書きにありますが、私にとっても副題「Musicians in the same era」のほうがなんだかしっくりくる感じです。たしかにオルタナティブと言われるミュージシャンが多く取り上げられているが、音楽の(に限らないけど)改革は辺境から発生するものなので、そういう意味では「王道ど真ん中」でもあるのでしょう。

それにしても良い本だ。Pファンク、スタートレックに続く子どもたちへの最高の教材だ!現時点での今年一番の収穫だ!

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ちょうど10年前に出た名著「黒いグルーヴ」!入手困難になっているようなので、復刻してほしいものだ。

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本の中でも、インタビューでも影響を受けたと言ってるブルース・ダヴィッドソンの写真集。非常に興味をそそられるが、いかんせん高い!何とかならないものだろうか?
by zhimuqing | 2009-06-23 23:18 | Funkentelechy | Comments(4)
Commented by SHINY at 2009-06-24 12:36 x
413ページ!!
KRS-ONEの鼻ごとく巨大な本ですね!!><
オルタナティヴって聞くと・・・レッチリとかそこらへんを想像してしまうんですけれど、違うんですかぁ??音楽の修行がまだ足りない、ツンバイです><
Commented by zhimuqing at 2009-06-24 20:27
そういえば、KRSワンの写真がないのが残念だ。

オルタナティブってタイトルですけど、
文字通りオルタナティブって意味ですね。
っていうか、私もオルタナ・ロックの範疇は全く分かりませんけどね。
でもまあ、KRSぐらいの鼻になれば、
これはもうオルタナか王道か、そんなのどうでもいいぐらい突き抜けてますね。
私もそうありたいものだ。
Commented by いしだまさたか at 2009-06-26 23:04 x
 本人です。検索して発見しました。ありがとうございます。
 KRS-ONEもレッチリも撮っていますがボツにしました。トラブルファンクやリンダ・ルイスやアルトン・エリスも泣く泣くボツにしました。120人に絞ることにより全体で見えてくる風景を明確にしようとした結果です。ザッパとパルミエリは撮れていません。
 まだまだ出したい本の企画はあるので、何とか実現させたいです。
 ではでは!
Commented by zhimuqing at 2009-06-28 02:27
>> いしだまさたか 様

なんと、ご本人からの書き込み!驚きました。

素晴らしい本、ありがとうございます。
昔から大好きな写真は、リーペリーの写真なのですが、
カボチャは石田さん持ち込みだったことを読んで、笑っちゃいました。

まだまだ出したい本の企画があるとのことですが、
個人的には音楽の現場の写真といいますか、
音楽が産まれてくる空気を切り取った写真を集めて
出版して頂けると、大変うれしいです。
といいますか、想像すると興奮します。


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