預言書のような小説「蜂起」

出張先のホテルで森巣博の小説「蜂起」を一気に読んでみた。
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第1部で登場人物がホームレスに落ちていく様を、
第2部でその後の動きを描いた小説なのですが、
ホームレスが皇居前の公園に退去して押し寄せたり、
広告代理店の人が職を失ったり、と
ここ半年強の日本の取材して書いたかのような
設定が非常に面白いです。
2003年に連載されていたものとは思えない。
著者が自画自賛するのも頷ける話だ。

性描写でややきつい部分もあるので(しかも長い!)
連載中は一部の読者から不評だったりしたそうですが、
そこはご愛嬌ですね。
森巣博の新書でこれまで触れられてきた
日本社会の矛盾点が随所にちりばめられて
ストーリーに色合いを付加します。
話が途中でやや脱線気味になるところは
井上ひさしを思い起こさせます。
(タイプは全然違いますが)

警官や右翼団体のボスを主役級として
矛盾点を浮き上がらせるために良かった。
ただ、それぞれが結構魅力的に書かれているので、
もう少し後半を詳しく描写してほしかったですね。
なんだかもったいない気がしました。

しかしさすがに本業が博打打ち、
変に甘ったるい感傷がない作風です。
ダシール・ハメットみたいというと、褒めすぎですかね?
マスコミの情報を鵜呑みにする従順な日本人に対する
苛立ちや疑問が前面に押し出されていますが、
しかし、その底に流れるものは、愛情ですね。
安っぽい「愛国心」ではないですけど。
焦点の当てる角度が面白いし、深さも十分。

まだまだ読んでいく価値がありそうだ、と思ってたら、
帰りの駅の本屋で森巣博の「無境界家族」を発見したので、
またまた購入してしまった私なのであった。
当分森巣ワールドに浸ることになりそうだ。
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この次は傑作の誉れ高い「越境者たち」かな?
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by zhimuqing | 2009-04-29 23:23 | Make Me Wanna Holler | Comments(0)
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