ハイン 地の果ての祭典

火曜日にロンマクと大阪で合流。レコード屋や本屋、楽器屋に行くという、いつもの一人の時の行動と寸分たがわぬ、いや楽器屋には行けてないですね、閉店時間が早いから。ま、それはさておき、我々のとる行動は基本的にはほとんど同じものとなるわけです。ウン十年変わっていない流れでもありますが。レコ屋でウルスラ・ヒラリア・セリア・デ・ラ・カリダド・クルス・アルフォンソ・デ・ラ・サンティスィマ・トリニダドこと、セリア・クルースのボンバの編集盤を格安で見つけるという幸運にも恵まれながら、ロンマクお勧めの一冊、山極 壽一と鷲田 清一の共著「都市と野生の思考」を探しに行ったのですが、そこで思いがけない一冊を発見。即、手に取り、レジに直行、夢中で読み返すこと数回、今日に至ります。

ハイン 地の果ての祭典
南米フエゴ諸島先住民セルクナムの生と死
著:アン・チャップマン 訳:大川豪司


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昨年出版されていたんですね。気が付きませんでした。セルクナム族のことを知ったのは多分10年くらい前だったと思うのですが、なんといっても、強烈な印象に残るルックスが印象に残るだけで、あとは絶滅してしまった先住民ということをなんとなく知っただけで、その後記憶のかなたに消えていたのですね。というか、ヤーガン族として紹介されていた気がします。

成人の儀式ハインを中心にセルクナム族とハウシュ族の風習や信仰、いや宇宙ですね、を記したこの著書、作者の案・チャップマンは60年代に僅かに生き残っていた人々からの聞き取り、そして1910~20年代にドイツ人神父グシンデの残した記録(貴重な写真多数を含む)を参照しながら、ずっと前に失われてしまったその宇宙について紐解いていく。

チャップマンの筆さばきは実に巧み。一冊を通して、全体に流れるこの民族への尊重の念、彼らが持つ(持っていた)宇宙感への感嘆がひしひしと伝わってきますが、それだけでなく、儀式の背景と建前に対する考察の進め方も滑らかでぐいぐいと引き込まれます。過酷な自然の中で自在に広がっていったセルクナムやハウシュの想像力と信仰をベースとしたハインの様子が実に活き活きと描かれていて、記録としてだけでなく読み物としても一級品。これは僅かな生き残りであったアンヘラやフェデリコとの心のこもった交流、正確に言うと友情、がなせた業でしょう。
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もちろんグシンデ神父による1923年のハインの貴重すぎる膨大な記録があってのもの。この写真のインパクトはあまりにも強烈ですからね。時代柄カラーでないのが残念ではありますが、それを望むというのは贅沢というものでしょう。この写真を含めた記録の引用がスムーズ。グシンデとセルクナムのやり取り、特にテネネスクとの最後の会話、もヴィヴィッドで、その後の展開を考えると、静かに胸を打つものがあります。
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忠実に彩色すると、こうなるそうですね。凄すぎる!
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どうしてもその後失われてしまう彼らの宇宙に思いを馳せて喪失感を感じてしまうわけですが、一方でチャップマンによるアンヘラ・ロイヒやフェデリコ・エチュライネへの聞き取りには当然多少の喪失感はありますが、悲壮感というものはあまり感じられない。チャップマンも重苦しい気持ちになるとは書いてはいるもの、例えば儀式に関する表現にはユーモアが溢れていて、それはアンヘラやフェデリコ、そしてチャップマンの個としての性格なのか、それとも厳しい自然環境から来た諦念によるものかは分かりませんが、北方に住むインディオへ向けて歌うロラ・キエプヒャの詠唱で冒頭と最後を挟んだチャップマンの思いとしてはどうだったのでしょう。
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それにしても人類史の本当に貴重な記録。チャップマンはロラの協力を得てハインの時の詠唱もしっかり記録して、CDと配信で今では簡単に聴くことが出来るようになっているそう。チャップマン、そしてグシンデ神父やルーカス・ブリッジスの業績はどんなに讃えても讃えすぎることはないでしょう。失って初めて気が付く重要性、身近なところではアイヌの文化もまさしくそうだと思いますが、やはりこういう部分にしっかりお金を使ってこその文化水準だと思うのですが、どうでしょう?
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自分の体にもタリを描きたくなってしまうのは仕方がありませんね。流石に下半身は出す度胸はありませんが。


追伸:これを書いてリビングに戻ると、ヨメがあんたが見てた本の人、テレビで紹介されてる!と。ふしぎ発見でまさかのシンクロ。うーん、セルクナムの導きか!
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# by zhimuqing | 2018-01-20 20:28 | La Sombra Del Viento | Comments(0)

不詳の一生徒より

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先生の授業を週90分の授業を半年間受けただけで、成績も決して良くはなかった私。その人間性の素晴らしさは愛称とともに理解していたつもりでしたが、その凄みについて思い知ったのは卒業してずっと時間が経った311の後でした。今後の日本にとってまだまだ必要とされる知性だったと思います。でも、あの時、先生がいてくれたことは本当にありがたかったと心から思います。安らかにお休みください。
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# by zhimuqing | 2018-01-15 00:38 | Make Me Wanna Holler | Comments(0)

DNAの旅

デンマークの旅行会社Momondoの広告。



これは全世界の学校で見せるべきですよね。
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# by zhimuqing | 2018-01-14 22:28 | Change! | Comments(0)

気長に行こう!

ジュニア・ウォーカーは本当に評価が十分にされていないというか、もう“Shotgun”だけでしか語られていない感がありますね。アルバムのCD化もほとんど進んでおらず、60年代後半以降のものはレコ屋に結構安値で転がっているのが現状。
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どちらかというとソウル以前のリズム&ブルースのイメージの強いジュニア・ウォーカー。モータウンにはジュニア・ウォーカーというソウルフルな人もいました、65年に“Shotgun”がバカ売れしました、おしまいという感じなのですが、ウォーカーが本領を発揮するのは実はその後なのですね。65年以降急速にファンク度を増していくソウル界の趨勢のなか、流れに取り残された、なんてことは全くなく、実に器用かつタフに渡り合っていったというのが私の印象。

ということで、安レコを見つけるとジュニア・ウォーカーを買っている私。安レコしか手を出さないのでなかなか調査は進まないのですが、先日発見した73年発表の≪Peace & Understanding Is Hard To Find≫、これはなかなか掘り出し物でした!ジャケの絵を描いたのは同じ73年発表の大傑作≪Innnervisions≫を手掛けていたエフラン・ウルフ。となると、もうジャケを見ているだけで気持ちの良いヴァイブが溢れてくる気がする、てなもんですが、その予感は外れていませんでした。
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ジュニア・ウォーカー&ジ・オールスターズなのに、モータウンの常でジュニア・ウォーカー以外のメンツが常に不明確。演奏を担当したスタジオミュージシャンの名前でなく、れっきとしたグループなのに名前が分からないというのがなかなか苦しい。モータウンとしては主役のウォーカーのキャラが際立っているので、それで十分だという考えだったのでしょうが、グループなんですけどね。ジャケにも当然のように記載がありません。それどころか、ウォーカー以外の写真もなし。オリジナルのメンバー、正確にはモータウンで脚光を浴びた時のメンツは鍵盤がヴィクター・トーマス、ギターがウィリー・ウッズ、ドラムがジェイムズ・グレイヴスなのだが、そこにベンジャミンやジェマーソン、ヴァンダイクなんかが適宜加わっているので、もう訳が分からないのですね。謎が深まる一方です。
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これはかなり早い時期の写真。ギターのウッズが右上、ドラムのグレイヴスは多分左上、トーマスは多分左下。あくまでも私の予想ですが。一番気になるのは言うまでもなく右下の人。

前作まで長い間アルバムを手がけていた盟友ジョニー・ブリストルがソロデビューにあたりモータウンを離れたので、今作からはブリストル印がなくなったのが一番の変化でしょうか?プロデュースは連名を含め、ウォーカー自身。バンドのメンツもおそらく変わっているように聴こえます。バンドメンバーの名前はありませんが、A面はバラエティーに富んだ制作陣の名があります。J5の“Maybe Tomorrow”で名を挙げたジェイムズ・アンソニー・カーマイケルにウィリー・ハッチにグロリア・ジョーンズ、ハル・デイヴィス、そしてジーン・ペイジ。

が、しかし全く変わらないウォーカーのサックスと歌。偉大なるワンパターン、最高です。A①の“I Ain’t Go Nowhere”はドタドタとぶちかます豪快なドラムに対抗する元気いっぱいのウォーカー。73年の押し相撲名勝負として記憶されるべき一曲でしょう。バックの女性コーラスも応援団のよう。それにしてもこのアレンジはカーマイケルというのが笑えます。ライオネル・リッチーやアトランティック・スターのイメージとはあまりにかけ離れたコテコテぶり。

随所にデイヴィッドTのギターが効いているA②“I Don't Need No Reason”はパム・ソーヤーとリオン・ウェア作曲。歌はメロウな女性コーラスに任せ、御大は漢気溢れるサックスを聴かせます。A③“It's Alright, Do What You Gotta Do”は曲調もメロディーも含め、ウィリー・ハッチ印。私の買ったLPには誰かが曲名の横にSuper Hot!とボールペンで落書きしてくれています。ハッチよりもずっといなたいウォーカーの歌、そして合間にブピィィィィィーーと嘶くサックスが麗しい1曲。ハッチとの相性はかなり良さそうなので、確かにHotというか、暑苦しい1曲です(誉め言葉です)。
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4曲目はキャロル・キングの名曲。これは過去の路線を踏襲したもので意外感はありません。ソウルフルで強引な節回しにジョニー・ギター・ワトスンを思い出しますが、さすがにもっと太いウォーカー。太いけどゴージャスではないところが燃えるところでもあります。サックスはかなり丁寧で、その対比がまたいかします。

で、A面ラストとB面全5曲はプロデュースもアレンジも全てジュニア・ウォーカーのみ。実はアルバムのハイライトはこの6曲。B面1曲目は驚きのジミー・クリフのカバーですが、その他の曲はウォーカーとバンドメンバーによるもの。こてこてのソウルジャズ路線。これが猛烈にカッコイイ。とは言っても、ジャズ含有率は当社測定で2%ほど。徹底してチキン・グリースでグリッティーでアーシー。73年の時点では少し汗臭すぎる音だけど、しっかりとJBのファンク革命には対応している音。おそらく当時のジュニア・ウォーカー&ジ・オールスターズが生で聴かせていた音なのでしょう。

バンドメンバーの腕もすこぶる良く、誰が弾いているのか気になるところですが、作曲クレジットから判断すると、鍵盤はヴィクター・トーマスで変わらず、ギターはアーノルド・ラングレー、ドラムはジェローム・ティーズレイかと。ラングレーとティーズレイはマンハッタンズやアイク・ターナーの元で腕を磨いていた人々。ベースはロナルド・ハーヴィルという人かと思うのですが、確証は無し。ロン・ハーヴィルだとクラレンス・カーターでベース弾いていた人なんですが。なるほどと思わせる面子ですな。

ベストは“Gimme That Beat Part 1 & 2”でしょう。何度リピートしても楽しめる傑作。イントロから鉄壁のリズム隊、ウォーカーの歌もサックスも最高のノリを見せますし、特にチキン・スクラッチな単音ギターのカッティング、特にサビに行く直前、が抜群です。これは72年に一応シングルになっているようですが、HIP-Oのモータウン・シングル集72年盤には収められておらず全く持って残念なことです。(Hip-Oの72年は他にもエリック&ザ・バイキングスの2枚目が入っていないという致命的なミスもあります。うぅ)
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このシングルは欲しいかも!

B④の“Country Boy”でのファットなリズムも猛烈に気持ちよい。ドラムが特に圧巻かと。この手の曲ではウォーカーの歌もサックスも実に映えて、独壇場といったところです。鉄壁なリズム隊といえば、A⑤に尽きるでしょう。ベース、ドラム、ギターの一体感、これは長いツアーを重ねないと出せない風味でしょう。B⑤のアルバムタイトル曲“Peace And Understanding (Is Hard To Find)”の語り口調(でもべらんめえ調)なんかはJBを通り越してジョー・テックス的。がむしゃらな突進力は深遠なタイトルともう一つマッチしていない感もありますが、その切迫感が例えばオーティスのサティスファクション的な不器用な男感に通じるものがあり、大いに好感を覚える私。一番割を食ったのは“I Can See Clearly Now”かな。

ということで、この時期のバンドの勢いがもの凄かったことがはっきり分かる濃厚な内容。ソウルジャズのブームが次来た時には大いに再評価されそうな予感もします。問題はそれがいつ来るのか?というところなんですけどね。Hip-Oが無くなった今、細かいデータとともにまとめて再発してくれそうなところは英KENTしかありませんが、イギリスのノーザンソウルシーンとは微妙に的が外れそうだし、なかなか難しいのかもしれません。この時期のライブ音源を発掘してくれると鼻血もんなんですが。やはり気長に格安LPを探していくしかないのでしょう。ま、それはそれで楽しみなんですけどね。
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# by zhimuqing | 2018-01-14 20:08 | Funkentelechy | Comments(0)

随分遠回りしたものだ

2018年、新年一発目に購入したCDはなんとアルバム≪Batman≫。缶入りのブツが500円で売っているのを見つけたのです。
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バットマンのサントラを聴くのは随分久しぶり。発売されたのは89年。当時私は猛烈にプリンス・マニア化していた時代、背伸びしまくって海賊版を買っていた頃。当然新譜としてのCDを聴いていましたが、“Batdance”や“Partyman”のPVを面白く観ていた(というか、ジョーカーのメイクをしたプリンスが大好きでした)のですが、内容はそんなにしっくりこなかった記憶が。

雑誌なんかでも、売れ線に走った (セルアウトとまでは言ってなかったはず)けど、ラブセクシー・ツアーで抱えた負債をこれで完済出来てよかったではないか?といった感じの論調がほとんど。粋がっている高校生の私も当然その意見に与していたわけですね。実際、当時聴いていた回数は決して多くないはず。当然世間一般の評価も低く、廃盤になって久しいはずだし、中古屋さんでも格安で売られ続けているはず。
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で、おそらく28年!ぶりに聴き直すバットマン。これはねえ、はっきり言って名盤です。この魅力に気が付くまで28年、29年?思えば、私も随分遠回りしたものです。キャッチ―なフックやコーラスの部分部分は勿論覚えておりますが、細かな部分は全く印象が無い私。改めて聴き直すと、恐ろしくクオリティーの高い音楽ですね。よく考えてみると、88‐89年のプリンス、かっちょいいのは当たり前です。こういう言い方をすると語弊があるかもしれませんが、その後長く孤独な戦いが続いたその時代の音よりも、独創性(独走性と読み替えても可)や鮮度感、全てにおいて上回っていてもおかしくないわけです。

もっとも当時よく言われていたようにセルアウトしたものか?というと、決してそうとも限らないなと。確か当時読んだ記事では、映画のラッシュを観たプリンスはすぐさまミネアポリスに戻り、1週間でこのアルバムを作ったはず。この作り込まなかったことが、むしろ功を奏したように思いますね。当時の才能のきらめき、ひらめきがダイレクトの結晶化されてしまっているものではなかろうかと。
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ふたご座の男、プリンス。

ハウスへの傾倒という意味では最初期に当たるであろう“The Future”はこの後続いていく同系列の曲と比べてもファンクネスという部分で深度が全く異なる。選んだ音のチープな響きも最高。顕著に傾倒ぶりを見せた後の曲にはない卓録感が功を奏したとも言えますね。

“Trust”もハウス系を意識したものでしょうが、これは先祖返りしてしまったというか、ダイレクトにプリンスのライブ終盤の盛り上がりを写し取ったものになっている。そう、映画≪サイン・オブ・ザ・タイムス≫での“It’s gonna be a beautiful night”の後半のような。コーラスというかクワイアの使い方も絶妙。

ちなみに今回クレジットを読み直してびっくり。サウンズ・オブ・ブラックネスだったのね。声の使い方、特にコーラスの入れ方は当時のプリンス印そのものでありつつも、キャメオ~テディ・ライリーの横に引っ張るスタイルを掛け合わせていて、これまたカッコイイ。しかもSOBの分厚いコーラスと殿下の多重録音コーラスが混在しているのがまた耳を引くのですね。

ポップチャートでトップを取った“Batdance”はどうしてもジャック・ニコルソンの声の後に小林克也の曲紹介が脳内で流れますが、これは何度も繰り返し見たヴィデオの影響です。ここでの音の継ぎはぎはおそらくヒップホップの台頭を意識してのものだとも思うのですが、後にバンド単位でヒップホップに対抗しようとした時よりも勢いがあってよろしい。クワイアとの混成技と勢いで押し切った感じの“Lemon Crash”は≪Graffiti Bridge≫以降にもっと直接的に繋がる曲ですが、ハウス系の曲の中では一番弱いかな。
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それにしても、胸毛の絶妙な良さ、よ。

ドラムの音処理はあからさまにジャム&ルイスするのがまた新鮮。当時は全く気が付きませんでした。なぜでしょう。“Electirc Chair”なんかモロなのに。ま、86年ぐらいから一気にのしてきた元子分のコンビの動向をプリンスが気にしていなかったはずはないわけで、その辺の自身の中での再評価がグラフティ・ブリッジでのザ・タイム再結成に繋がったと今になった思うのですが、どうでしょう。

ギターの使い方はもろに≪Rhythm Nation≫ですが、そこに殿下色のギターがコラージュされたように入ってくるあたりは本当に痺れます。途中のソロも抜群。その後にコーラスが分厚くなるところ、あのシャウトが入るところ、一気に音が減って“Bob George”になるところ、もう溜息しか出ません。こんなに格好いいのに、当時ほぼスルーしていた自分の未熟さに驚きます。
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当時一番好きだった“Partyman”のどファンクの良さは変わらないけれど、バックでベースを兼ねるかのように時々鳴るギターの良さには当時気が付いていませんでした。“U Got the Look”あたりで開発された技。低音コーラスを含め、多分にラリー・グラハムに想を得たものだと思いますが、これは研究の余地がありそう。2分頃から飛び出すフックのカッチョよさは不滅。“Batdance”のファンクパートでのコーラスと並ぶ聴きどころ。途中のジャジーなピアノはミスター・フィドラーのアルバムに繋がるもの。唯一の弱点は曲が短いことでしょう。

続く“Vicky Waiting”はなんだか泣けます。こんなに良い曲でしたっけ?歌で魅せる表情も私が一番好きなプリンスで嬉しい。様々な表情を見せるギターにも泣けます。サビの直前に音を減らして、ギターのアルペジオを散らしつつ、多重録音コーラスを重ねるあたりが本当に憎いです。冴えまくってます。

2曲あるバラードはマニアの皆さんからはあまり好かれないシーナ・イーストンとのデュエットの“The Arms of Orion”はまっとうなバラードで面白みに欠ける感じは否めませんが、この頃珍しかったプリンスのまっとうな歌はそこそこ旨味があり、当時毛嫌いして申し訳なかった。

でも、やはり最高なのは“Scandalous”ですよね。シンセを重ねることで産み出される滑らか過ぎるグルーヴ。これはもう時代を30年先に行っていたと言ってもおかしくありません。不協和音の混ざり方を含め、今どきのUSブラックの若人が出してきてもおかしくない音です。今回一番驚いたのはこの曲かもしれません。当時、キム・ベイジンガーがフューチャーされたミニアルバムを(別の意味で)熱心に聴いていましたが、あのアルバム、どこに行ったのでしょう?これはまた入手し直さなくてはなりません。
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当時、噂にもなりましたよね、この二人。

ということで、驚きの内容。本当の天才の音楽はリアルタイムでは私のような凡人には分からないことが多いわけですが、これは最たるものでしょう。当時の安易な思い込みと決めつけ。当時の私に小一時間説教したくなりますね。しかし、こうなるととですね、もしかするとこれもちょっとしか聴いた記憶がない≪Graffiti Bridge≫なんかの再評価を行ったほうがいいかもしれませんね。それどころか、迷作で有名なあの2本の映画なんかも素直な心でもう一回渡来したほうがいい気もしてきましたが、さすがにそれは厳しいかな。
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ああ、それにしても私はプリンスが大好きだ!

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# by zhimuqing | 2018-01-08 23:28 | Funkentelechy | Comments(2)

あけましておめでとうございます!

あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。おかげさまで正月休みはなかなか楽しく過ごしました。

毎年結構真剣に新年一発目に聴く音楽を選んでいるのですが、今年はムスメたっての希望でこのアルバムに決定。
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新年の始まりと考えると、これは正しい選曲かもしれない。

元旦 ムスメと二人でスターウォーズ(吹き替え版)を観に行く。先日文句をたらたら書いた私ですが、いったん胸の内を吐き出した後に改めて見てみると意外に許せる自分がいて驚きました。ただ、10作目以降に続けたい気持ちが脚本にありありとあって、あざとすぎるかな。
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そうそう、かねてから念願のカイロ・レンのマスクとライトセーバーを入手するも、私はひたすら切られる羽目に。

我が家に家族が集結。
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年末に入手した近江牛を食す。
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ブラザGはトークボックスと格闘する。今年は私も真剣に格闘してみようと思うのであります。
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トークボックス、我ら兄弟の男の浪漫ですが、女性陣にはその浪漫が理解できない模様。が、そこは親の権力でムスメに無理矢理試させるのであります。
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なぜか津軽海峡冬景色を試す小学5年生
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舞台2ステージ分を超えるセリフを読まされるアンクルG。新年からご苦労様です。

年末に入手したJAM(細田日出夫)のChasin' The 80s Classicsをひたすら読み続ける。読めば読むほど凄い資料。この人の独自の表現は本当にそそられるのですが、評価の軸が昔からぶれないことも凄いことです。リアルタイムに味わった感激が鮮度を保持されたまま真空パックされている感じ。読んでいるうちに居てもたってもいられなくなり、新年早々CDの棚を色々漁りまくる羽目に。久しぶりにスターポイントとシェリル・リンとチェンジとジェフリー・オズボーンに燃えました。
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本の印象強すぎて、この辺の聴き直しが続きそう。

年末に古本で発見した高野秀行の文庫本をひたすら読む。前々から読もうと思っていたのですが、なかなか手に取る機会がなかったのだ。面白すぎて一気読み。まだまだたくさん出版されているので、これは相当長い間持ちそうです。
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Pさんとケンドリックス君が登場。いろいろ音楽の話で盛り上がりつつも、ムスメの魚扁の漢字テストを実施される羽目に。アル・グリーンのLay it downのベースに聴き惚れ、サディーク3作目のドラムに痺れ、ウーマックの歌うChange is gonna comeでしみじみと。Pさんは後日ムスメのドラムの特訓に付き合うことに。
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アル・グリーンのアルバム単体ではベスト作との思いが膨らむばかりです。

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# by zhimuqing | 2018-01-04 00:28 | Change! | Comments(4)

それではよいお年を!

あっという間に年末ですね。主に熱心に掘るのは昔の音楽ばかりとなり、まあそれはそれで充実しているのでいいのですが、どんどん浮世から離れていく感じもありますね。でも黒光りする音のテクスチャーを追い求めているのは変わりません。ということで、今年2017年のベスト10の発表です!

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1. Hidden Figures: The Album
実は昨年末に購入していたのですが、本格的に聴きはじめたのは素晴らしい映画を観てから。映像が浮かぶと音の深度も深くなるという好例。60年代、70年代の音を取り入れた云々と言われますが、その成分のまぶし方の微妙に新しい部分とオーソドックスな曲の良さのバランスの妙。ファレルの本領発揮ですね。私の耳が閉じておりました。それにしても映画の素晴らしさよ。機内で4回、映画館で1回観ましたが、未公開シーンが満載だというDVDが早く観たいところです。


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2. Tribalistas
もうモンチの歌世界に溺れまくったトリバリスタスは今年の後半、よく聴きました。徹底して歌というか声を引き立てるために配置された艶やかな音。完璧な三人のバランス。美しい。モンチの買ってないアルバムを買いに行かねば!

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3. Ondatrópica:Baile Bucanero
まさかのオンダトロピカ2作目。ほとんど話題にならなかったのが不思議ですが、前作を踏襲した音に加え、ここ最近クァンティックが探そうとしていた音も加わり、なかなか強力な布陣?になっていたと思うのですが、どうでしょう。特にアルバム前半の怒涛の展開に痺れました。少し低迷気味だったクァンティックの復活の狼煙。第3作(あるのか?)にも期待したいです。あと、いつも付け加えていますが、このメンツでの来日もお願いします!

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4. Funkadelic:Reworked By Detroiters
ファンカデリックのリミックス。やはり私にはデトロイトの音が一番なのかもしれない。ファンカの濃ゆ~い音を見事に抽出したリミキサーのセンス(とプレッシャーに負けない男気)。これに触発された動きが高まりと面白いのですが。

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5. Quantic & Nidia Góngora:Curao
艶やかな佇まいと美しい歌で私達を存分に魅了したあの嵐の中の来日公演から3年、待望のニディア・ゴンゴーラのソロ。曲の展開に合わせて旨味成分の濃度をめまぐるしく変化させることが出来る歌い手としての特性、色彩が増えて、ぎゅっと空気の密度が濃縮してしまう感じ、をうまく抽出したクァンティックの戦略が見事に功を奏しましたね。

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6. Kendrick Lamar:Damn.
自分の声を活かすために計算しつくされた音。同時にトラックに合わせて完璧に乗せてくる声。それぞれのトラックで見せる(魅せる)バリエーションの多さとその完成度。アルバムでの全体の流れを構築する能力。現在、世界最高峰のMCの実力を存分に見せつけられた3作続けての傑作。

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7. Tone Allen:The Source
バラエティーに富んだ曲調、素晴らしく生々しい録音、そして変幻自在なドラミングが全編楽しめるという、トニー・アレン好きにはたまらないアルバム。フェラ・クティの元を離れて以降では多分一番の傑作だと思います。

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8. João Donato e Donatinho:Sintetizamor
あの合気道の達人のような、重力を自在に操るような鍵盤のカッティングが結局は全てを握っているという、ドナート翁の威力がまたもや発揮されたアルバム。恐るべき若々しさ。まだまだいけますぞ!

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9. Joey Badda$$:All – Amerikkkan Bada$$
聴き手をレイドバックさせる部分と耳をそばだてさせる部分の緩急の付け方が猛烈にカッコイイ。コンシャスなリリックと俺様な部分のバランスも絶妙。まだまだ若いし、本当にYoung Black Godになっちゃうのかも、と思わせるほど。次作にも期待してます!

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10. Tank & the Bangas
音源の発表は無かったものの、タンク&ザ・バンガス、これはなんとしても入れなくては。タイニー・コンサートの予選を通過したことで一躍有名になったグループですが、フロントのタンクとジェリーの二人のコンビネーション、バンドの音の組み立て方。新作を早く出してほしいものです。

あれまあ、年々少なくなるR&B関連、フィジカルは1枚のみの2017年のベスト10。でも先に書いた通り、黒光り度合では負けません。何と戦っているのかはよく分かりませんが。

次点はオノシュンスケのスライ・カバー。音源の発表自体はずいぶん前になりますが、今年遂にLP化。最近では坂本慎太郎との共闘の記憶も新しいオノシュンスケ、楽器の重ね合わせといい、音色の選び方といい、カバーの選曲の妙といい、才能しか感じません。その凄みはディスコってのカバーにも存分に発揮されていましたが、今後の活動が楽しみ。活動量増やしてほしいって思っているのは私だけではないでしょう。その他、新作でよく聞いたのはMATT SOUNDS。

そして年末最後の最後、29日の夜中に出版されていることに気が付いて大いにびっくりしたのがJAMこと細田日出夫のブラック・ミュージック・レビューでの連載をまとめた「Chasin' the 80s Classics」!そう、物凄い情報量で昔から有名だったあの連載。この連載を集めるために連載が乗っている全バックナンバー買いそろえようかと思っていたあの連載。凄すぎて需要が無く、決して単行本化されることはないと勝手に思い込んでいたのですが、これは本当に嬉しい出版です。資料としての価値として考えても世界屈指!大コーフンです。これで年明けも相当楽しめそうです。
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さて、来年はクリス・デイヴの新作からスタートですね。映画スターになったモネイちゃん、それにアンドレ3000の新作は一体いつになったら届くのでしょうか?タンク&ザ・バンガスにも期待してます!

再発モノでは、ここ2,3年続いていたレゲエ方面への集中がひとまず一段落して、一気にソウル方面へシフトした今年後半。イギリスKentには引き続き大変お世話になっていて、The IndependetsとかBilly Butlerの総集盤には大変お世話になりました。この辺のシカゴ系への探求は来年以降も続きそう。そうそう、レゲエ経由で違和感が完全に解消されたこともあり、華麗なフィリーの音も随分聴き直しました。でも、やっぱりブルーノーツとオージェイズがダントツなのですけどね。60年代デトロイトは既に人生のテーマとなりつつあり、年末近くになっても掘り出し物を発見出来て、嬉しいところです。

さて、その他は一気にまとめて。

あまりに目白押しだった昨年に比べると、ライブはあまり観に行ってないけど、内容は充実していたと思います。

ベストライブは何といってもエリカ・バドゥ@ソウルキャンプでした。やっぱり無理してでもビルボードライブに行っておくべきだった気がして、今でも少し心残りなのです。その他では、UA@野音、近藤房之助@Old Scot、Kodama and Dub Station Band@クアトロはもの凄かったですね。Reggaelation Independenceはそら豆も最高でしたが、真夜中の下北も面白かった。その他では、内田コ―ヘイQ@渋谷Roots、Dub Organizer@新宿OPENにも興奮しました。レゲエ界隈のミュージシャンは本当に凄腕が多いですね。
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映画は機内で観ているものばかりなのできちんと観たうちに入らないし、更に私は映画に関しては(関しても)ごくごく単純な神経構造をしているので、単純なものばかり。でも、一番はやはりHidden Figures(ドリームとは言いたくない)に尽きますね、しつこいけど。その他では、ローガン・ラッキー、ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー・リミックスあたりの肩の凝らない娯楽作も良かったですが、スノーデンかな、やっぱり。あと、機内上映で時間切れになって見終えることが出来なかった「女神の見えざる手」、この続きが猛烈に観たい今日この頃です。(調べたら、まだ上映しているのね、観に行こう!)

カズオイシグロのノーベル文学賞はなかなか嬉しかったけど、本は例年ほどは読めておらず、これは大いに反省しております。一番印象深かったのは、船戸与一の満州国演技。NHKのインパール作戦等の放送、そして落ちてくるはずもないミサイルで大騒ぎしているこの残念な状況の中で、残念ながらリアリズムを持ってしまうのが厳しいところ。来年はもっと何とかならないものでしょうか?
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でも、実はムスメと宮部みゆきの話が出来るのが一番うれしかったりします。

その他は色々と楽しかったもの。

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JOINTEXHIBITION、暁斎展、不信(最高でした)、キン肉マン60巻、Riddimの石田昌隆さん特集(ですよね)、ハイネケンのCM、ハラヂュクJINGUS、すみジャズ。

カズンズはプレーオフに行ってくれ!キングスはもう少し頑張ってくれ!
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シルヴィア・モイ、クライド、ジューニー、デビー、Pナット、星になる人が多すぎです。そんなに急いで行かないでほしい。

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ケンドリックス、プリーチャー、サンディー、ミスター・P、そしてボンさん、一年ありがとう。58さん、スミエ姐さん、ランチ、はてさて。モヤーン、来年こそ。ノブさんも。ロンマク&コハマク、今後が楽しみだ。ハイさん、またカレーを。MAさん、早く復活を。

ブラザG、君の活躍こそが私の養分。
孫の言いなりの鵜雛&Hはやっぱり元気が何より。
ヨメさん、今年も色々とすまん。
レイとヨウ、君たち二人はいつも私の世界中心。
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今年もお世話になりました!それでも皆さん、よいお年を!
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# by zhimuqing | 2017-12-31 00:00 | Funkentelechy | Comments(2)

10歳ドラマーKハク君

先日ここで書き、ごくごく一部で話題となった旧友の息子、10歳(になったばかり)ドラマーのKハク君と久しぶりにご対面。何年ぶりかな。多分5,6年ぶりになるのではないかな。大きくなっていてびっくり。

あの後、両親の懸念を振り切って、無事地元のジャズバンドに入り見習いの日々のKハク君ですが、大きな声では言えませんが、クラスに好きな娘がいるそう。で、その娘を含む女の子数名を家に遊びに来させることに成功したそうなのですが、なんとその日が入団したばかりのビッグバンドのイベント(地元のコンテスト)とバッティング。両親に懇願しまくってビッグバンドに入ったのに、女の子軍団の訪問に舞い上がる一方のKハク君。とうとうキレたお母さんに怒鳴られます。


あんた、ジャズと女、どっちを取るの!


小学3年生、齢9歳にして、ジャズと女のどちらを取るか迫られるという、なかなか稀有な経験をしているKハク君、迷わず答えます。


女に決まっとるやん!



ジャズマンとしてもファンカティアーとしてもブルースマンとしても満点の答えでしょう。


さて、そんなKハク君が遂に私と相方モヤーン氏と年の瀬にご対面。モヤーン氏にいっちょ揉んでもらおう、という試み。
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そこは小学3年生、リズムキープなんかよりも派手なフィルインがやりたくて仕方ない模様。10歳の男子だもの、それは仕方ないよね。サンバキックの練習(そんなの教えるなよという話もありますが)は地味すぎたのか、あまり乗り気ではありませんでしたが、コールドスウェットの基礎フレーズはなんとか時間内にこなせるようになり、どや顔で決めるところも超かわいいもんです。今度またゆっくり遊んでみたいものです。
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# by zhimuqing | 2017-12-30 16:28 | U GOTTA FRIEND | Comments(0)